IPAとは

【完全版】RPAの進化系!今話題のIPAについて徹底解説!

IPAとは

近年、働き方改革などの影響で各企業が業務効率化のためにIT化を進めています。

特にRPAツールを使った業務削減の効果はすさまじく、三菱UFJ銀行が2万時間、三井住友銀行が40万時間の業務を削減したことは有名なことです。

RPAは金融業界だけでなく、サッポロビールなどの製造業から神奈川県庁といった地方自治体に至るまで幅広く活用されています。

その中で業務自動化のための新しい概念としてIPAというものが、近年非常に注目を集めています。

ということで、今回はIPAに焦点を当てて特徴などを説明していきます。

IPAはAIとRPAを組み合わせたもの

IPAとは「Intelligent Process Automation」の略で、アメリカのコンサルティング会社であるマッキンゼーにより早くから提唱されてきた概念です。

この概念を一言で言うと

従来のRPAにAIを組み合わせてより高度な自動化を図る概念

の事です。

日本ではやっと最近RPAが広まったこともありまだ馴染みのない言葉ですが、実は欧州ではむしろIPAの方が一般的になっています。

RPAは予め設定された定型業務をこなす事が非常に得意でしたが、定型化できない業務は苦手としていました。

そこで、文字の認識に優れたAIや音声認識に優れたAIなど、RPAを特化型AIを組み合わせることでより幅広い範囲の業務を自動化することができるようになります。

ここで注意したいのが、IPAはあくまでRPAとAIを組み合わせた「概念」であるということです。

RPAという「手」を動かすために、人間の「脳」の代わりにAIという「脳」を利用するようになると考えると分かりやすいです。

現在急成長しているRPAの技術ですが、IPAはその中の一つの段階と捉える事ができます。

そこで、RPAの発展段階について図解を加えながら解説していきます。

IPAの発展

一般的にRPAの発展段階は大きく3段階に分けられていますが、ここではもう少し細かくして全部で4段階に分けて解説していきます。

第一段階:定型的な作業の自動化

PC上での情報の収集、入力作業の自動化、メールの自動送信といったPC上でできる業務を自動化したものです。

PC上での業務に限定されているため、紙媒体の情報をPC上に移すといった作業は人の手が必要となります。

第二段階:非定型業務の一部自動化

音声認識や文字認識機能を備えたRPAがこの段階になります。

例えば、OCR機能を兼ね備えることで紙媒体の情報から始まる一連の作業を全部RPAツールを利用して行うことができます。

今あるRPAの多くはOCR機能などを兼ね備えているため、RPAツールとしては現在は第二段階にまで達していることになります。

第三段階:弱いAIを用いた自動化

RPAが特化型AIと組み合わされたことにより、RPA自身が機械学習をする事が可能になった段階です。

機械学習が可能になるため、第一・第二段階のRPAとは異なって想定外の事態への対応などが不要になります。

この段階にある概念がIPAです。

しかし、概念としては存在してもこの段階にあるRPAツールはまだ存在していないのが現状です。

第四段階:強いAIを用いた完全な自律化

あらゆる領域に対応した汎用型のAIとRPAが組み合わされ、合理的な判断ができるようになった段階です。

しかし、現段階ではこのようなAIはまだ存在せずこのようなAIが登場するのは2030年頃と言われています。

RPAの発展段階

なぜ今IPAが大切なのか?

RPAは金融業界、製造業など幅広い業界で使われ、絶大な効果を発揮しているのはこの記事の最初の方で述べた通りです。

RPAでも十分効果を発揮しているのに、なぜ今IPAという概念が必要になっているのでしょうか。

RPAは定型作業しかできない

これが最大の理由です。

上述した通りRPAは与えられた定型作業を行うだけの、いわば「手」のようなものです。

しかし、企業には定型的ではない業務も多く存在するため、RPAだけでは業務改善に繋がらないケースも多く見受けられます。

ある調査では、日本企業の約7割がRPAを導入しても思っていたほどの結果を得られなかったという調査もあります。

そこでRPAをAIと連携させる事で、AIが突発的なエラーへの対応やどの業務をRPAに任せるかという判断など、今までは人間がやらなければならなかった業務をAIに任せることができます。

これにより、RPAが対応できる業務の幅が広がることが期待できるのです。

IPAによって何ができるのか

RPAとAIを連携させる事で、人間の判断を必要としていた業務までもRPAができるようになるということは前述した通りです。

では、具体的にどのような事ができるようになるかを解説していきます。

AIスピーカーとの連携

AIスピーカーとは音声操作に対応したAIアシスタント機能を持ち、インターネットなどに繋げることで音声により音楽鑑賞や調べ物をすることを可能にしたスピーカーのことです。

Amazon EchoやGoogle Homeといった製品が代表的なAIスピーカーです。

AIスピーカーとRPAが連携することで、ロボットに耳がついたような状態になるため、以下のようなことが可能になります。

まず、作業担当者がAIスピーカーに向かって指示を出します。

指示を受けたAIスピーカーは、業務遂行のために必要な事を判断し、それに応じたRPAツールを起動させます。

RPAツールはAIスピーカーからの指示に従って資料の収集から作成までを自動で行います。

作成した資料をAIが判断し、人間に報告するという仕組みです。

AIスピーカー×RPA
AIスピーカー×RPA イメージ図

これにより、作業担当者がやることはAIに向かって資料作成を頼むだけになり、大幅な作業効率の改善が見込まれます。

当然AIスピーカーとの連携により可能になることはこれだけではありません。

スケジュール予約が可能なRPAと組み合わせる事で話すだけでスケジュール管理が可能になるなど、幅広い業務への対応も期待できます。

AIスピーカーとの連携により、業務指示をするための入力作業が不要になるため主に製造現場などでのニーズが高いです。

AI−OCRとの連携

AI−OCRとはその名称からも推測できる通り、従来のOCRにAIを搭載したものです。

AIを搭載することで機械学習が可能になり、手書き文字といった従来のOCRではなかなか認識が難しかったものも高い識字率で認識することができるようになっています。

また、従来のOCRは固定帳票にしか対応していなかったが、AI−OCRは対応するレイアウトをAIが自動で識別することが可能になり、可変帳票への対応も可能になりました。

このAI−OCRもRPAと連携させることで、更に力を発揮します。

ちょうど、RPAにAI−OCRという目がついたと考えるとわかりやすいです。

例えば、手書きの請求書や収集した画像データなどをPDFに変換し、RPAが自動でそれをAI−OCRに送付します。

データを受け取ったAI−OCRはPDFを自動でテキスト形式に変換します。また、自動で修正なども行います。

最後にRPAが変換されたテキストを自動で業務システムに投入するといった形です。

AI-OCR×RPA
AI-OCR×RPA イメージ図

これは一例ですが、実際にAIReadやDX SuiteといったAI−OCRがRPAツールであるWinActorとのを連携させる取り組みを行っています。

異音探知AIとの連携

音声認識という点で上記のAIスピーカーと若干似ているのですが、機械の故障をAIにより認識可能になります。

まず、異音検知に特化されたAIが機械の故障に繋がるような音を認識します。

異音を認識したAIはそのことを職員に通知するようRPAに指示すると共に、システムログの収集を指示します。

RPAによりログが収集されると、分析用AIが稼働し異音が発生した原因を探索します。

原因が判明したらレポート作成用AIが稼働しレポートを作成、そしてRPAが職員に通知をするという仕組みです。

RPA×異音探知AI
RPA×異音探知AI イメージ図

ここでも人間が行っていることはほとんどありません。

AIとRPAが自動で原因を判別してくれるため、担当の職員は対応策を考えるだけでよく、余計な仕事が増えすぎてしまうこともありません。

機械の故障という素早い対応が求められる場面でも、AIとRPAが連携することで迅速な対応が可能になり被害を最小限に食い止めることができます。

与信審査AIとの連携

メガバンクをはじめとした金融業界は、失敗が許されない業務が多いにも関わらず手作業で行われる業務が多かったため、業務効率化の観点から他業界よりも一足先にRPAなどを導入してきました

近年では、銀行のコア業務である与信審査にもAIを利用しようという試みがあり、RPAと連携することでより更に業務の効率化が図れます。

まず、RPAが与信審査AIへお金を借りようとしている人の情報(所得など)をAIに送ります。

その情報を元に、AIはお金を貸していいかの判断を行います。

審査判断を終えたAIはその結果に応じて行う作業をRPAに指示し、貸し出しが可能であれば貸し出しに応じた作業をRPAが行うといった形です。

実際にSMBCコンシューマーファイナンス株式会社が展開しているプロミスは、与信システムの運用にAIの利用を開始しています。

同社ではプロミスを利用するお客様の与信審査を行う際、属性や借入状況に加え、同社における取引情報を審査対象としています。

同社の取引情報は約26億にまで及びます。

それをAIに分析させることにより、最適な分析指標を抽出することが可能になり、より最適な利用限度額の設定などが可能になりました。

プロミス 自動与信システム概要
出典:SMBCコンシューマーファイナンス

自然言語処理AIとの連携

自然言語とは、簡単に言うと「人間が普段利用する言語」のことであり、「自然言語処理」とは「人間が利用する言語をコンピューターが処理する技術」のことです。

具体的には、メールやチャットといったものに打ち込まれた言葉をAIが解析するような技術が挙げられます。

先ほど挙げたAIスピーカーも人間が普段利用する言語を音声で解析しているので、自然言語処理の1つでもあります。

この技術により、職員がRPAにこなして欲しい業務をチャットに打ち込むだけでAIが自動でRPAに業務を指示するようになり、RPAが業務をしている間職員は別の業務を行うことができます。

業務改善を提案できるAIとの連携

今まで紹介したものは、自動化して効率をあげる部分を人間が予め決めてからそれをAIやRPAに適用するという形を取っていました。

しかし、最近は業務改善そのものを提案するAIの研究が進んでいます。

NTTデータ社は、マウスやソフトの使用時間などのログを収集し、それと業務量などの関係を分析し業務改善を行うプロセスマイニングツールにAIを搭載するという研究を行っています。

これにより、AIが膨大なデータを分析して自動でRPAに適した業務を洗い出すといったことが可能になります。

RPA×業務改善を行うAI

それだけでなく、将来的にAI自身が業務改善のためのロボットを作成するようなことまで考えられています。

このように、AIが人間の代わりに脳として働くことで業務の自動化は一層進むようになります。

そのほかにも、AIが大量のメールを内容別に分け、その内容に従って返信文を作成しRPAに実行を指示するといったことなど、AIとRPAを組み合わせることによって可能になることは多岐に及びます。

以上の具体例のいずれの場合も、AIが考えRPAが実行するという仕組みであることが分かります。

まだ国内で実際にIPAを推進している企業はなかなかないのですが、これから先技術の発展と共に国内でもIPAの推進が進んでいくことが期待されます。

IPA推進において注意すべきこと

AIはまだ万能ではない

RPAの発展段階で示した通り、現段階で実装されているAIは音声認識や異音探知など特定の機能に特化したAIであり、ドラえもんのような完全に合理的な判断ができるAIは存在しません。

AIは与えられたデータを解析し法則性を見つけ出すことで学習を行い、過去の学習内容に従って判断を下します。

つまり、現段階のAIの判断はその学習内容に完全に依存しているわけです。

そのため、学習内容に振れ幅が大きいとAIは想定していなかった答えを出すことが考えられます。

つまり、現段階のAIはまだ人間によるサポートが必要な段階にあります。

そのことを理解せず、「RPAと違ってAIは機械学習が可能だからサポートはしなくてもいい」という認識だと導入に失敗してしまうので注意が必要です。

明確な目標の設定

これはRPAの導入時の注意点と同じです。

単に「業務削減をしたい!」というような闇雲な目標だと自社にあったツール選択ができず、効果が実感できません。

そのため、どの業務に改善の余地があるかを洗い出した上でそれに最も適したツールを選定することに加え、中長期計画を立てて長期的な目で業務改善を行っていく必要があります。

AIができることとできないことを把握

AIはRPAができない非定型業務をこなすことができるため、「AIに任せておけば大丈夫!」といった幻想を抱くこともあります。

しかし、何度も言うように現段階のAIは全ての業務に対応できるものではありません。

特化型AIゆえそのAIが可能としていない領域の仕事を任されても、当然AIはこなすことはできません。

そのほかにも絵画や作曲といった新しい価値を生み出すことや、文章間にある言語化されていない「行間」を理解するといったことはまだ不可能です。

こういった、AIでは不可能であることをしっかり理解することもIPA推進時には非常に重要なことになってきます。

自動化への理解

メガバンクの事例にもあるように、RPAの導入だけでもかなりの業務削減ができていることは周知の通りです。

もしこれにAIが加わったら更に多くの業務削減が可能になるため、一層自分の仕事がなくなるのではと思う人も多いはずです。

このように、社内で業務自動化への理解ができていないと、IPA推進の障害になることは間違い無いです。

そのため、社内で業務削減によりどのようなメリットがあるかをしっかり共有しておく必要があります。

IPAの事例

IPAを推進していく試みは、RPAツールを提供している企業でいくつか行われています。それをいくつか紹介します。

Blue Prism

Blue Prismは、2019年にRPAと他の新技術を組み合わせる「コネクテッドRPA」と呼ばれるコンセプトを打ち出しました。

その中でRPAとAIの連携に着眼しており、次のようなデモが行われました。

マイクロソフト社の画像分析技術の「Microsoft Azure Computer Vision API」とセレブ情報データベースサービスの「IMDb」をRPAに組み込みました。

そして、実際に映画祭でセレブの顔を認識し、その情報を集めるというものです。

以上のものはBlue Prismと他者のAIを組み合わせたものなのですが、Blue Prism自身にAIが組み込まれたBlue Prism Decipherを新たに発表しました。

これは、Blue Prismに搭載されたAIが請求書を読み取るとそこから必要なデータを抽出し、RPAが利用できるようにしてくれるようにするものです。

Blue PrismはロンドンにAI研究所を設置しており、博士号を持ったAIの専門家を集めてAIを搭載したBlue Prism製品の開発を進めており、Blue Prism Decipherはその最初の製品です。

そのため、これからのBlue Prismの製品はAIが搭載されたものが発表されていくことが期待されます。

UiPath

UiPathを提供しているUiPathもIPAの推進をしています。

UiPathでは、RPAとAIがテクノロジーやプロセスの観点から別の縦割り組織となっていることが両者の連携の障害となっていると判断しました。

そ子で、UiPathはAIとRPAの連携をよりスムーズにするソリューションとしてAIファブリックを開発しました。

これによると、AIのモデルをUiPath Studio上でドラック&ドロップすることでRPAのワークフロー内に簡単にデプロイすることが可能になり、より簡単に業務を効率化することができるようになります。

AIファブリックについて興味を持った方は、以下のUiPathのサイトをご覧ください。

UiPathのRPAとAIがいかに連携し、自動化を飛躍させていくつもりなのか、今後の方向性についてご確認ください。…

IPAにより起こる事

RPAは定型作業は得意分野なのですが、少しでも人間の判断が必要とされる分野になると対応できないということは何度も述べた通りです。

しかし、メガバンクの事例にもあるようにRPAだけでも大幅な業務改善を実現しています。

そんなRPAに脳とも言えるAIを連携させたら更に多くの業務が自動化できるようになることは言うまでも無いことです。

すると、人間が担う仕事はもっと減っていき、自分の仕事がなくなるのでは?と不安に感じている人は多いのではないでしょうか。

よく、「自動化によって単純作業が無くなるからより創造的な仕事ができる!」とポジティブなことが言われますが、実際メガバンクがリストラや新卒募集を減らすなど、仕事が奪われている面は否定できません。

実際、10年後から20年後には現在人間が担っている職業の約50%がロボットが担い、最終的には70%以上の仕事をロボットが担うようになる見込みです。

これでは、将来街に失業者が溢れてしまう事態になってしまいます。

そのような事態を防ぐためにも、政府主導でロボットと人間が共存できるような体制の構築が不可欠です。

IPAにより変化する社会

今回はIPAという新しい概念について解説してきました。

RPAにAIを組み合わせることで、より自動化できる範囲が広がります。

それによってより効率的な業務ができるようになるのは間違いないですが、失業への恐怖から自動化に反対する人もいることもまた事実です。

業務効率化を進めていくためにも、自動化によりもっと楽しい働き方ができるということをしっかり理解していくことが求められています。

それだけでなく、自動化によって失業の不安を抱かせないような社会を作り上げていくことも必要不可欠です。

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