ソフトバンクワールド2019年孫正義氏レポート

【孫正義氏が語る】SoftBankWorld2019~『AIの力で未来予言は現実に』~

ソフトバンクワールド2019年孫正義氏レポート
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2019年7月18日 、19日の2日間にわたって開催されたソフトバンクグループの法人向けイベント「SoftBank World 2019」。

基調講演冒頭で、孫正義氏は「AIは未来を予言する水晶玉である」 と語り、会場の注目を集めた。

孫氏が描く、AIと人間の未来とはどのようなものなのか。

基調講演の内容を紹介していきます。

孫正義氏が語るAIと人類

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孫正義氏

未来を語ってくれる、予言してくれる水晶玉が手に入るとしたらすごいことだと思いませんか。

これから15分後に起きること、30分後に起きること、1日後、何が起きるのか。

もし未来を予言することすることが出来れば、皆さんは世界の大金持ちになっていますよね。

未来を予言してくれる水晶玉は残念ながら、実在していないのかもしれません。

しかし、それに代わるものが今、まさに実現しようとしています。

人類は今まで多くの進化を遂げてきました。

例えば、空を高く飛んでいる鳥を見て、あんなふうに空を飛べたらいいなと想像しながら、ダ・ヴィンチが飛行機の原型を生み出しました。

天空を舞う星空を見て、もしかしたら天空が動いているのではなくて、自分たちが立っているこの地面が動いているのではないかという風に考えた人がいました。

当時は宗教界の中でもタブーという風にされていた、コペルニクスのこの地動説、人間のものの考え方を根底から変えてしまいました。

磁石を見て、羅針盤の力を推論しそれを生み出した人物がいました。

また、川に浮かぶ木を見て、もしかしたら木のように、あの木の上に乗って川を渡ることが出来るのではないかということで、ボートを人類は作りました。

そして光を見て、相対性原理のもとを考えたアインシュタインが、人間のものの考え方を根底から変えてしまいました。

つまり人類は、いろんなものを推論しながら、目に見えるもの手に触れることのできるもの、それを見ながら「あんなふうになれたらいいな」あるいは「あれがもしかしたら自分たちの将来の姿を変えるのではないか」というように思って、推論をしながら進化をして参りました。

人間の持っているこの推論する力は、進化の最も大きな源泉になっているという風に私は思っています。

推論をするうえで欠かせないものがデータであります。

現在はデータという言葉で表現されていますけど、目に見えるもの、触れるもの、そのものを見て推論するというかたちになってきたわけです。

言いましたように例を挙げればきりがないぐらい、電気の出現、自動車、そして月にまで人類が飛ぶ、コンピュータを生み出す…

ありとあらゆるものが人間の推論の力で生み出されてきました。

この人類の進化はほぼ行き渡ったのか、それともさらに、ここからさらに加速していくのか____

私はさらに加速していくと思っています。

そもそもこのデータは、コンピュータに食べさせていくのですが、インターネットの上に流れているデータの量は、この30年間で約100万倍になりました。

ここから先の30年間でこれがどれくらいになるのか____

もう一度、100万倍になると思います。

つまり、データの増加というのは決してもう行き渡ったという状況ではないと。まだまだここから、爆発的に増加していくという風に思っているわけです。

____クラウド、そして自動運転

____自動運転の、この車の世界はですね。

まさに、最大のロボットというのに値すると思います。この車が自動運転化されて、事故の起きない世界が生まれていく。

少なくとも我々人類は多くの自動車事故を起こしながら、それでも妥協してこの文明の利器を今使っています。

しかし、その事故が100万分の1に削減することできたならば、もっと安全で、そして便利さがますます増していくと思います。

これも自動運転の世界はライダーだとかカメラから入ってくる情報を使って、人口知能が様々に今から起きることを予見しながら、事故を未然に防ぐ。

急に猫が道を横切るかもしれない。ボールを追いかけて子どもが横切るかもしれない。反対車線から突然トラックがこちらに向かってくるかもしれない。

そういったことを様々なデータをもとに予見して、推論して未然に事故を防ぐことが出来るのです。

今後、データの量は100万倍へ

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また、我々のグループにはARM社が存在していますけれども、このARM社の今後10年ぐらいの予想の中でも、約一兆個のIoTのためのチップが出荷されるということ予想されます。

この1兆個のチップが今までは人とモノがつながっていたわけですが、モノとモノが直接にデータのやり取りをする。そんな時代になるとこれまた膨大なデータが飛び交うということになるでしょう。

つまり、どう見ても、どう推論しても、もう一度ここから30年間で私は100万倍ぐらいのデータの量は増えると思っています。

ですから、我々のグループの中のモバイル、あるいはブロードバンドの通信の世界も、5Gで止まるのではなくて、6G、7G、8G、9G、10Gというふうに、これから30年の間では、まだまだその通信速度も増やしていく。

データのトラフィックの量は、さらなる次のキャパシティを求め、さらなるスピードを求め、さらなるレイテンシーの圧縮を求めて進化していくのだろうという風に思います。

このデータを、膨大な、100万倍やってくるデータを、人間が使って、それを推論していくというのはもう不可能に近いくらいの量のデータがやってくるわけです。

だから我々は一気に、このAIの力を使って推論していくと。こういう世界になっていくのだろうという風に思います。

AIにも適材適所は存在する

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AIはまさに、人間が勘と経験と度胸に、頼ってきたこれまでの意思決定に変わって、もっと科学的で、もっとデータに基づいた推論をなしていく。

それによって人類の進化は、ここで行き渡るのではなくて、さらに加速し、その進化がやってくるということになると思います。

現在は、例えば天気予報というと漁師のおじいさんに聞くよりも、まさにコンピュータを使った、データを使った天気予報を見たほうが、より当たるという時代がやってきました。

僕が子供のころは天気予報を、テレビを見ても「今日の午後雨が降るでしょう」といって傘を持って行って全然雨が降らないで、逆にがっかりしたというような経験も覚えています。けれども今日では、このコンピュータを使った天気予報というのは、漁師のおじいさんの勘と経験に頼るよりも当たるようになりました。

それ以外の部分では、まだまだ人間のほうがAIの推論よりも当たるという場面がたくさんあります。

しかしこれが、今から5年後、10年後、そして30年後にはAIを使った__データを徹底的に集め、分析し、これから5分後、15分後、1日後に起きることを予見する。

この方がはるかに当たる、という時代がやってくるという風に思いますね。

つまりAIが一番得意なこと、これを一言で言い表すというならば、現在AIはプリディクションにもっとも適した役割を果たしているということです。

AIに何かアイデアを考えてくださいと言っても、「考えるってなんなのか」ということになってしまいますよね。

今から5分後、1日後、3日後に起きることを予見する。

これをやらせると、AIのほうが人類よりもはるかに得意だと言われる時代が目の前にやってきているということです。

ですから、AIになんでもかんでもやらせようというのは、アプローチとして私は間違っていると思いますね。

最も得意なことをそのものにやらせる。適材適所。

人間もそうです。人間も適材適所で使ってはじめて、より大きな効果を果たすわけですけども、新しいこの技術、AIの世界も適材適所なわけです。

AIはPredictionに使うべき

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一言で言い表すなら、私はpredictionに使うべきだという風に思います。

例えば今日現在のビジネスで、ここにお集まりのみなさんは、ものを売っているという場合が多いと思いますが、この在庫の回転率、これを向上させるとその会社の利益は莫大に増えます。

この在庫の回転率を増やすためにAIを使って__例えば金曜日、今日の夜7時にいったいどのくらいの注文がくるのかを推測することが可能となります。

ちなみに夜19時は大雨が降りそうだというと、さらに大雨だというデータをもとに、その出荷されるだろう注文の数を予見することが出来る__推論することができるわけです。

ですから、より在庫の回転率は科学的に上がるはずなのですね。

例えば、最近ソフトバンクグループの決算発表でも紹介しましたけれども、中国の世界で最も進んだ中古車販売の会社“車好多集団”は一般的には60日くらい、中古車を次のオーナーに転売するのに在庫を60日くらい平均的には抱えていないと売れないと言われていたのですが、車好多集団はすでに15日間で次のオーナーに平均して売りさばくということができるようになっています。

この在庫が60日から15日に減るということは、経営効率は4倍ほど上がる。中古車というのは、時の経過とともにその価値が刻々と下がっていくのです。生鮮食品と一緒ですね。

刻々と時間、日数の経過とともに下がるわけです。

ですから、在庫の日数が短くなればなるほどその商品価値を守って、しかも運転資金もより少なくて、その会社の利益に直結するわけです。

これがAIの力でさらに2日くらいにまで圧縮されるような時代がやってくるのではないかと、私は推論しています。

マーケティング、販売活動、これも今までは人間が販売の効率を上げるために様々な推論をしいたのですが、マーケティングもAIの力で、より適した人に適した宣伝をする、プロモーションをする。

例えば、テレビで、私が一人で夜見ているときに、ヘアドライヤーの宣伝とかされてもね、あれ?と、あんまり最近使ってないなと。

そんな私にヘアドライヤーの宣伝をされてもと、思います。女子高生に高級車のメルセデスベンツを宣伝しても、売り上げに直結しないわけです。

このように、いったいその視聴者の年齢が何歳くらいで、性別で、職業で、というようなことをどんどん推論、いちいちお客さんに入力してもらわなくても、推論していくことによって、より適切な広告宣伝・プロモーションをするようなことができるようになると思います。

孫氏の描くビジョンファンドとは

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そうすると当然、利益には直結してくることになります。例えば、相乗りをする自動車。今日現在では100とした時に、すでに中国のDiDiでは、彼らのAIのエンジンを使って、140パーセントの相乗り効率を実績として上げています。

近い将来これが、200パーセントにさらに改善するんじゃないかというふうに私は推論します。

つまり推論をすることによって、AIの力で経営は直接「より強く、より儲かる、よりスピーディーで、よりしなやかに」という風になると私は思っています。

今、まさにちょうど20年前、25年前に、インターネットが始まったばかりの時に、私は毎日興奮して、さまざまなインターネットの事業を開始したり、投資をしたりしてきましたけれども。

同じ興奮、あるいはそれ以上の興奮でAIの革命の入り口にいて、ここに全速力で向かおうとしています。

今、世界中にベンチャーキャピタルが約5,000社あります。

その世界中のベンチャーキャピタルが全部5,000社集まってですね、約9兆円の資金を去年一年間で調達し、投資をしています。

我々ソフトバンクグループは5,000社で9兆円に対して、1社で10兆円の規模の資金を集めてこのAI革命に一気に、同時多発的に出資を行っています。

このあり方も1つの革新だと、ビジネスモデルの革新であろうという風に私は思っています。

今までのベンチャーキャピタルがアーリーステージの会社に、資金を10億円、20億円入れていくのに対して、ソフトバンクのビジョンファンドは、レイトステージのすでにユニコーンになった会社だけに特化して、ユニコーンハンティングということで、それぞれその分野の世界1、あるいは最低でもその国・地域ナンバーワンの会社にばかり投資をしています。

つまり、AIに特化して、ユニコーンに特化して、しかもナンバーワン集団だからこそ、よりシナジーを出しやすい。

こういうかたちでファミリー・グループを構成していくというのは、世界でも初めてのアプローチであるというふうに思います。

このファミリーの数が、この2年間で80社を超えました。

産業革命のときに、その起業家たちがその産業革命の推進役、エンジンであったのと同じように、AI革命も起業家たちがまさにその推進のエンジンになる。

一人の男、一人の人物では何もできないかもしれないけれども、でも、たった一人の人物がすべてを変えてしまう。そんなことが人類の歴史の中で何度も繰り返されてきたわけです。

私は、まさにこのAI革命の起業家たちというのは、そういうたった一人の男の誕生が、あるいは女性の誕生が、人類のこれからの未来を決定的に変えてしまう__そんなことを最近ひしひしと感じてきております。

ビジョンファンドをやってよかったと思うことは、世界中の何かでNO.1の会社が年率2倍3倍4倍伸びているような会社が我々のファンドになる。ソフトバンクグループではAIに特化して、世界中の企業を集めている段階なのです。

人類の進化は続き、ますます加速する。

人類の進化は推論によって促されたものであり、データの量は100万倍に増大し、その100万倍のデータをAIで活用し、AIシフトによって人初めてより大きな進化していくことが出来るのです。

先ほど少し辛辣の言い方で、AIの後進国になってしまったと言いました。

別に日本を批判したいわけではなくて、それは別に日本が嫌いなわけでもなく、日本が大好きで日本に貢献したいと思っているからこそ、日本を愛しているからこそ__日本も早く目覚めて日本もこの進化に早く追いつき、追い越していかなくてはならないと思っているのです。

よくビジョンファンドが日本企業でなく世界の会社に投資していることに対し、何かあるのではと聞かれることがあるのですが、それはAIのユニコーンだからです。

実際、日本にユニコーンともいえる企業がないのが現状で、投資したくともそのような企業がなくて出来ていないだけなのです。

ただし、このAI革命はまだ始まったばかりで、ちょうどインターネットが始まった25年前、そのころはFacebookもGoogleもネットフリックスもなかった。

最初の5年10年に生まれた企業が世界を代表する企業になっていきました。

今はまだIT革命が始まったばかりと同じような状況なのです。ただし今、目覚めないと手遅れになってしまう。

AIは人々を幸せにする

私が思うに、なぜAI革命が起こるかというと、我々人類が幸せになるためなのです。

AIの革命が進むと、人間は置いてきぼりになり、仕事を奪われて、不幸せになるのではないかという人がいますが、私はそうは思いません。

農業では機械が生まれて、人々の職業は90%農業だった。これが2000年近く続きました。

それが今では、アメリカでは農業に携わる人々が5%、日本では2%以下。

農業の仕事が機械化されて、農業以外の仕事が生まれ、新しい仕事を私たちに与えました。

私はこのハイテクの世界は人間に新しい感動を与え、新しい仕事も与えていくのだと考えています。

例えば、がんで亡くなる人をなくすためにAIを活用し、人々に幸せを与えようとしている企業もあります。

我々は情報革命を進めていくのは、決して人間を不幸せにするためではなく、人間を幸せにするためのAI革命だと思っています。

そして、そのチャンスが今、目の前にあると思っています。

____これが私の伝えたかったことです。

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