#04.RPAのこれまでとこれから。国内と海外を眺めて時間軸でRPAの”今”を捉える。

さて、前回までのマガジンで、商売文句を排除したRPAの機能やサポートの説明、そしてわかりにくいRPAの価格体系を解説してきた。

ここまでくれば、RPAを語る上での下地はできたと言えよう。

しかし、最後の関門が待ち受けている。

それは、「これからRPAはどこへ行くのか」について自分の見解を述べられるか、だ。

後述することでもあるが、実を言うとRPAは昨日今日で始まった技術ではない。

となれば、なぜRPAという技術が2010年代後半にバズワードと化したのか。

そして、その理由をつかむことで、RPAがこれから先どこへ向かうのかが見えてくる。

そこで得られる展望は、海外のRPA事情を紐解くことで、より確固たるものとなる。

RPAの審美眼を身につける旅の最終章で、RPAの歴史と未来について語ろう。

RPAが”RPA”になった時

RPAとは、”Robotic Process Automation”、すなわちPC上で行われる動作を自動化する技術のことだ。

しかし、操作を自動化するという技術自体は早くから生まれている。

例えば、エクセルのマクロ。

VBAで記述したプログラムに沿って、様々な動作を自動で行うことができる。

GoogleスプレッドシートにおけるGASやMacのAutomatorというアプリケーションもそうした操作自動化を行ってくれる。

1995年にWindowsが一斉を風靡した頃から、そうした技術は生まれていたのだ。

では近年流行りのRPAツールは、これらの自動化ツールとは何が違うのか。

その違いは、「誰でもできるか否か」である。

伝統的な業務自動化ツールは、基本的にIT系の人間がプログラミング言語を駆使してプログラムを構築することで動く。

非ITの人間には、作ることはおろか、使うことや微修正を加えることすらもできないのが普通だ。

そのハードルを大幅に下げたのが、”RPA”と言う技術。

つまり、会社の全従業員が数週間のトレーニングを経て誰でも業務の自動化を行えるようにするためのツールのことを”RPA”と呼んでいるのだ。

誰でも開発ができる業務自動化ツール。これこそがRPAの定義である。

RPAの歴史

そんなRPAの生みの親はアメリカ。

2000年代になって開発が進み、Kofax社やBlue Prism社、Automation Anywhere社、UiPath社などが設立され、RPAツールが誕生したようだ。

しかし、そんなRPAが注目され始めたのは2015年頃

それまでは、ERP(基幹系業務システム)やBPR(業務フローの見直しや監視をすること)で業務の効率化が進んでいたが、この頃からアメリカを中心にホワイトカラー業務自動化の流れが始まり、事務作業から人々が解放されるようになってきた。

日本に目を向けると、2008年にBizRobo!が商標登録をしているが、2017年頃からRPAが注目されてきたように思う。

2017年にRPAと相性の良い銀行の基幹業務・コンプライアンス業務が、3大メガバンクにおいて同時期に自動化されたことが世に広まると、日本においてもRPAが注目を集めるようになったようだ。

これ以降、大企業を中心にRPAの導入が進み、それに伴って各ツールの機能拡充やサポートの充実、価格の低下が生じた結果、現在はだんだんと中小企業へ波及している段階だ。

さて、ここで伝えたいことは、「RPAが本来誰もが使える自動化ツールとして生まれたのだ」ということと「RPAと言う技術はまだまだ最近のものだ」という二点。

RPAは以上のような過程を辿って進化してきたわけだが、21世紀になって生まれた技術はRPAだけではないということを忘れてはいけない。

インターネットが誕生したことで、個人の行動や好みを反映するビックデータを解析できることになり、AIという技術が生まれた。

さらにそのようなデータを獲得し、相互制御によるさらなる利便を獲得するために、今までインターネットに繋がっていなかったモノが接続されるようになるIoTという技術も生まれた。

これによりIT系の会社だけでなく、メーカー企業も含めた全ての経営者が、自社の持つビックデータをどのように有効活用していくか頭を悩ませるようになった。

AIとRPAの親和性

そのようなビックデータの活用を助ける存在としてもRPAが重視されている。

RPAのクラスというものをご存知だろうか?

RPAの発展段階

詳しくは下の記事を読んでもらいたいわけだが、ざっくりいうとRPAは上画像のように進化していくというものだ。

RPATIMES

RPAはAIの技術と組み合わせることによって幅広いことができるようになります。では、今後RPAとAIはどのよう発展してい…

つまり、現在は指定された作業しかできないロボットであるRPAが、AIという頭脳を獲得し、自分で判断することによってイレギュラーな業務でさえもやってのけるようになるということだ。

現在のRPAは、画像におけるClass2に当たる。

つまり、OCR(光学文字認識)や音声認識などのソフトを使用することで、認知機能を獲得したRPAというわけだ。

その結果、通常の業務自動化に加えて、紙媒体や音声媒体で眠ったままになっている社内の非構造データをRPAで取り出してビックデータ化し、経営戦略に生かすなどといった使用法が考えられる。

現在はAIの使える環境を整えるところまでしかできないRPAだが、いずれAIの指示や判断に従って業務自動化を自動化する様になるかもしれない。

BPRとRPAの親和性

加えて、RPAとともに重要視されているのが、BPRだ。

ご存知かもしれないが、BPRとはビジネスプロセス・リエンジニアリングの略で、既存業務の必要性やプロセスをもう一度見直すことで、組織構造から抜本的に改善・改革を行い、組織の生産性をあげることを指す言葉だ。

バブル崩壊後の低成長時代に喘ぐ企業は、社内における生産性向上が至上命題となり、紙での作業を電子化するOAの導入などと同じタイミングでBPRを行ってきた。

しかしながらOAは部署間をまたぐ様な改善をもたらすことが少ないため、全社的な改革を取り組むきっかけにはならなかった。

御察しの通り、RPAは違う。

部署を跨いで全社的にRPAを導入した場合、そのそれぞれで業務フローの見直しが行われる。中には、部署間を跨ぐ業務もあるだろう。

全社的に業務の見直しをすることで、事業部間で二度手間となっている業務や、本当は必要のなかった業務があぶり出されることになるだろう。

つまり、RPAを導入する際に必ず行う業務フローの見直しは、結果的に全社的なBPRを行なっていることと同義なのである。

こうした不要業務の削減とRPAによる自動化が、RPAがもたらす生産性向上の正体なのだ。

RPAとの関連

RPAのこれから

さて、RPAの誕生からAI・IoT・BPRとの親和性を絡めてRPAのこれまでを追ってきた。

今からRPAがこれから進んでいく未来を考えていこう。

今回は結論から言う。

RPAは、第四次産業革命を巻き起こす蒸気機関としての役割を果たすだろう。

産業革命との比較

18世紀のイギリスでは、織機や紡績機の改良が行われていたが、その飛躍的な改良に結びついたのが動力源としての蒸気機関の登場だ。

今まで人力で動かしていたものが、蒸気という力を利用することで、人間にはなし得ない生産性の向上をもたらしたのだ。

この例における、毛織物業をビジネス・織機や紡績機を業務プロセス・蒸気機関をRPAに置き換えると現在起こっている飛躍的な生産性向上の仕組みが見えてくるのではないだろうか?

BPRによって、業務プロセスの改善が行われていたわけだが、人間にはなし得ない正確性と高速性を持ったRPAが導入されることで、業務の生産性向上がなされる____

そもそも誰でも使える様に作られているRPAで現場開発を行うことで、誰でもできてしまう様な単純作業は全て機械に任せ、人間は多様性と個性を生かしたクリエイティブな仕事のみに集中することが可能になる。

その結果、社員のモチベーションがアップし、仕事という概念が「辛いもの」から「趣味の1つ」として捉えられる様になるかもしれない。

そして、RPAの性能がアップし、Class2から Class3へ進むことで、より人の手を煩わせることなく業務を自動化することが可能になり、いずれClass4のCAに至った時・・・

シンギュラリティが起こって、世界の常識が大きく変わってくる。

未来はこの様になっていくはずだ。

海外と日本の導入の下地の違い

RPAがBPRの動力源となって、第四次産業革命をもたらす。

この前提を頭に入れてRPAに日本における”現在”を眺めるといびつなことに気づく。

各社の事例を眺めていると、日本におけるRPAは、「経理部門における各種精算作業の自動化を行いたい」「コールセンターにおける顧客情報管理を効率化したい」などといった事業部ごとの個別問題に対する”対処療法”として使われている節がある。

従ってRPAがボトムアップで導入されることが多い上、個別の事業部で成果をあげてからの横展開となる。

しかし、上記で説明した様にRPAは飛躍的な生産性を上げるためのBPRの動力として使われるべきだ。

そして、実際にその様な使われ方をしているのが欧米である。

欧米では、分業が進んでいることに加えて、経営層が現場の業務をしっかりと把握している企業が多い。

その結果、経営層による全社的な業務改善の一環としてRPAが導入されることが多いのだ。

これこそがRPA導入の未来を体現する導入方法といっても過言ではない。

日本の企業は、大企業になればなるほど、経営層が末端業務を把握しておらず、事業部内でも業務の属人化が起こりがちな企業文化を持っている。

従ってトップダウンでRPAの導入が行われたとしても、RPAの罠に引っかかって現場の実態に合わないツール選定をしてしまうことに繋がる事例も出てきている。

トップダウンの導入が全て良いとは限らないのは上述の通りだが、RPAを対処療法にとどめ置かない意識を持って、不要な業務のあぶり出しや業務フローの改善を行う必要がある。

AIと結びつくRPA

さらに欧米では、RPAの機能にAIの機能を持たせたツールが多く開発されてきている。

例えばその1つがBlue Prismだ。

Blue Prismでは、IBM社の WatsonなどのAIを組み合わせて機械学習を行うことで、多少のUIやプロセスの変更などで通常のRPAがエラーを起こすイレギュラーな業務に対応できる様になってきている。

この傾向は日本のツール各種ツールでも進んでおり、このまま行けばRPAがあげてきた成果物を人の目で確認する工数やエラーに対応する工数もさらに減少することが見込まれる。

その時こそ、RPAによる第四次産業革命が佳境を迎え、人間が退屈な仕事から解放される時だろう。

RPAのこれまでとこれから

これを読んでいるのは、RPAを導入する企業担当者や導入を検討する経営層などであろうか。

そんな方々の貴重な時間をいただいてこの記事を読んでもらったのには、理由がある。

今までのマガジンは、RPAの知識を学び、自社への導入成功に役立てもらうためのものだった。

しかしこの「RPAのこれまでとこれから」を読んでもらったのは、役立つ知識を提供するというよりは、今のあなた方が「第四次産業革命の担い手」なんだという自覚をしてもらうためだ。

RPAのこれまでを追うことでRPAの本来の目的を知り、RPAの未来を見通すことでRPAの真価が発揮されるような導入を進めてもらう。

そんな人たちを一人でも増やし、そんな企業を一社でも増やすことこそがRPA Timesが掲げた「RPAを普及させる」という使命を達成するには欠かせないことなのだ。

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