RPAマガジン

#03.RPA各社が言わない本当の価格とは。ライセンスと料金体系に隠された大きな罠

RPAマガジン

前回のマガジンで各社のHPからではなかなか知ることができないRPAツールの基礎は身についているはずだ。

しかし、前回一切触れなかったRPAツールの大事な一側面がある。

それこそが、「価格」である。

toBで売られているソフトウェアであるため、価格がお問い合わせベースで設定されていることが多く、web上に参考価格が表示されていることが少ない。

そしてweb上にある参考価格は、本来のRPAツールの価格体系からほんの一部を抜き取ったものにすぎず、各ツールをその参考価格で比較してしまうと全く違った印象を得てしまうことだろう。

RPAツールの導入プロジェクトの担当者はまず、このような価格の罠があることを知っておいてほしい。

そして、その罠を取り払った真の価格比較を見てみてほしい。

キーワードはライセンス

さて、いきなり価格の説明に進む前に、まずはRPAの価格体系で重要な役割を果たすライセンスについて少々説明しよう。

ライセンスとは、ソフトウェア販売会社が対価を得た上で、そのソフトウェアの使用許諾を与えることだ。

身近なところで言えば、Windowsやオフィス製品を考えればわかりやすいだろう。

RPAツールもソフトウェアの一種であることに変わりはないので、このような販売形態が取られているのである。

このライセンスを知る上で、大事な点は1つ。

「どの使用を許諾するかはベンダーの裁量次第」ということだ。

ワードやエクセルなどはライセンスさえあれば、持つ機能を全て使うことができる。

これは、マイクロソフト社のライセンスがフル機能を使えるアカウントの提供と同義だからである。

しかし、マイクロソフト社がパワーポイントのスライドショー機能を使えるライセンスと使えないライセンスで価格を分けたとしたら、ユーザーは自らの使用目的に照らして適切なライセンスを購入することになるだろう。

このような形で、RPAベンダー各社はそれぞれ全く違う機能に対してライセンスを発行しているのだ。

このような価格体系で価格が決まっているのだから、それぞれの最低価格だけで比較するのはナンセンス

だからこそ、価格に隠された罠の正体を1つ1つ紐解いていこう。

RPAのライセンス

WinActorのライセンス

  • 開発者ライセンス:90万8000円/1台
  • 実行ライセンス:24万8000円/1台
  • 管理ツール:228万円

WinActorのライセンスは以上のようになっており、全て一年の利用料だ。

すなわち、ロボットの開発とロボットの実行、そして管理に機能を分けて、そのそれぞれに価格を設定しているわけだ。

このライセンスはPC一台ずつに付与され、そのPCを使う人は何人いても構わない。

つまり一台の開発用PCを購入し、それを3人の開発者で共同使用しても良いということだ。

UiPathのライセンス

  • 開発ライセンス:約60万円/1台
  • 実行ライセンス:約30万円/1台
  • 管理ツール:約300万円

UiPathのライセンスは、WinActorのライセンスと非常に近い。

こちらもPC一台ずつに付与されるもので、複数人での共同使用が可能だ。

UiPathは上記のPCへのライセンス付与以外に、アカウントへのライセンス付与も行なっており、上記の価格より多少割高になるが、オフィス製品と同じ様なライセンス形態になる。

また、UiPathは販売代理店に値引きを許可しており、上の代金より値引きされることが多い。値段の部分は担当者の腕の見せ所になるだろう。

管理ツールはロボットの台数が2桁になったあたりで導入が推奨される。

BizRobo!のライセンス

基本的には、BizRobo! Basicが月額で60万円。

3年でペイする予定の長期レンタル(買取型)の販売も存在する。

ネット上には、レンタル型・従量課金型・買取型があると書いてあるが、通常利用料金がレンタル型=従量課金型と考えると良いだろう。

この最低利用料で、同時ログイン人数が10人までとなっている。

(このログイン数=サーバーの処理量で利用料を設定しているので、従量課金型と呼ばれることもある)

つまり同時開発者を10人まで用意できる上、ロボットの同時実行に制限はない。

※ただし5、6台以上の同時実行になると、順番に処理が実行されていくので、全体としての所要時間が増えてしまう。
(ラーメン屋に行列ができているので、回転率は変わらないが、食べ終わりまでの時間がかかるという状態をイメージするとわかりやすい。)

また、サーバーに同時にアクセスできる人数に制限が設けられている状態なので、 BizRobo!をインストールするPCの台数に制限はない。

さらにサーバー型なので、管理機能はデフォルトで含まれている状態だ。

Blue Prismのライセンス

1ライセンス:年間120万円

Blue Prismでは、1ライセンス120万円でロボットの実行と開発、サーバー管理を全て提供している形になる。

“サーバーから実行するロボットが同時に実行する数 = ライセンス” と数えるため、同時実行しないようにスケジューラーを設定いただければ、1ライセンスで対応可能となります。

Blue Prism販売代理店のQ&Aサイトより

つまり、同時実行するロボットの台数だけライセンスを購入すれば良いということだ。

これは、同時実行さえしなければ、同時開発者や開発するロボットの台数は無制限ということだ。

さらに、BizRobo!と同じくBlue PrismをインストールするPCの台数に制限はない。

Automation Anywhereのライセンス

管理ツール3アカウント&開発ツール10アカウント&実行ツール5アカウントのセットで年間約1200万円。

これがAutomation Anywhereの通常ライセンスとなっている

管理ツール1アカウント&開発ツール3アカウント&実行ツール1アカウントのスモールスタートパックでは、年間380万円だ。

基本的には、 WinActorやUiPathと似たような価格体系になっていることがわかるだろう。

上記で五大ツールを例にライセンスの価格体系を説明してきた。

基本的にはお問い合わせベースなので数字自体に注目するというよりは、どの機能にどれだけの価格がつけられているのかを把握するのが、RPAツールの価格比較では大事な作業だ。

ライセンス以外の費用

RPAツールにはライセンス以外にも必要な経費が存在する。

それは一個前のマガジンで解説したサーバーの動作環境などによって変わってくるため、RPAツールにかかる金額を比較するときに見落とされやすい。

従ってここでまとめて解説しよう。

まず最初にデスクトップ型の場合、PCがRPAロボットを実行している間、そのPC上でその他の作業をすることはできない。

となれば、実行ライセンスを購入した分だけPC自体を購入する必要があるということだ。

一方、サーバー型の場合はサーバーを設置する必要が出てくる。

すでに自社サーバーが設置されている場合はそちらを使用する形になるが、通信容量の増量などは検討することになるだろう。

初めて設置する場合は、サーバー代だけでなくセキュリティ保守業者への業務委託費やメンテナンス費用、周辺機器の購入や電気周りの工事など、数十万円から数百万円が必要になることがある。

この辺りの通信環境を整えるのにかかる費用も、情報システム部門と連携しながら算出しておく必要があるだろう。

※サーバー型のツールでも自社内にサーバーを設置せず、ベンダー側で提供しているサーバーを使用することも可能なツールもある。

実際に比較してみよう。

さて、それでは全く同じ導入規模を達成するために各ツールはいくらかかるのか考えてみたい。

ここでは

  • 小規模:開発者4人&実行するロボット10台管理ツール無し。ロボットの同時実行台数は2台。自動化対象業務の少ない中小企業や、一部の事業部のみ導入する場合がこれに当たる。
  • 中規模:開発者10人&実行するロボット60台管理ツールあり。ロボットの同時実行台数は6台。情報システム部門やRPA部門のみが開発を行う場合はこれに当たる。
  • 大規模:開発者30人&実行するロボット200台管理ツールあり。ロボットの同時実行台数は15台。RPAの全社展開や現場開発を推し進める場合がこれに当たる。

の三形態をとって比較してみることにしよう。

また、PCは一台10万円と仮定して試算を行う。

※あくまで目安(上記の仮定条件に基づく試算であり、企業の導入状況や同時実行台数によって変動します)

  WinActor UiPath BizRobo! Blue Prism

Automation

Anywhere

小規模

231万円 180万円 200万円 120万円 380万円
中規模 982万円 900万円 720万円 720万円 1200万円
大規模 2103万円 2100万円 1440万円 1800万円 2400万円

まず、小規模での場合だ。

ロボットが10台なら実行するPCは2台あれば十分足りる。

さらに同時開発をしなければ開発PCも2台で足りるだろう。

従ってデスクトップ型の WinActorとUiPathならば、PCの購入費用約20万円に加えて、前者なら年間231万2000円、後者なら年間180万円かかってくる計算だ。

一方で、BizRobo!はサーバー型のものを導入すると1ライセンス価格となり、720万円必要となる。

※デスクトップ型のBizRobo!miniの登場により、初期費用別で年間180万円でも可能になった。(別途PCの購入費用約20万円も必要)

Blue PrismとAutomation Anywhereでは、前者がでは年間にして120万円、後者が年間380万円。

小規模での導入の場合、WinActorとUiPathが良いコストパフォーマンスを発揮すると言えるだろう。

次は、中規模での比較だ。

開発者が10人になってくるため、開発者PCは6台ほど用意しておきたいところだ。

ロボットも60台を超えてくるので、デスクトップ型の場合、1PCで10台動かすとしても6台ほどの実行PCを用意しておきたい。

そうなると、WinActorではPC購入代約60万円に加えて、ライセンスに年間約694万円使う計算だ。管理ツールも導入するので、合計すると約982万円ほどとなる。

UiPathでもPC購入代60万円に加え、ライセンスに年間540万円かかり、管理ツールも含めて年間約900万円となるだろう。

一方サーバー型のツールだと、中規模の場合、BizRobo!は標準ライセンス・Blue Prismは6ライセンスを購入・Automation Anywhereの標準ライセンスで対応できる。

従って、BizRobo!と Blue Prismは年間720万円、Automation Anywhereは年間1200万円となってくる。

もちろん、自動化する業務の量や頻度に応じたライセンス購入を行うため、価格は上下すると見ていい。

上記のように、中規模だとどのツールでも価格はほぼ変わらない状態に落ち着く。(若干、サーバー型の方が安くなる傾向がある。)

大規模な現場開発を行うなどの計画がない場合、ツール選定における価格比較を中心に据えずに、純粋に機能やUI、使いやすさなどで選ぶことになるだろう。

最後は大規模での比較

開発者が30人になる、すなわち事業部をまたぐ開発が行われているので、開発PCは15台ほど必要だろう。

そうなってくると、 WinActorではPC費用150万円に加えてライセンス費用が1725万円、管理ツール合わせて約2103万円になる。

UiPathでは、PC費用150万円に加えて、ライセンス費用が1350万円、さらに管理ツールを2ツール導入することになるので、約2100万円となるだろう。

一方、サーバー型の各ツールだが、同時開発者を10人に絞ることでBizRobo!は約720万円に抑えられ、20人で同時開発を行う場合、約1440万円になる。

Blue Prismは同時実行数を15台にすると約1800万円、Automation Anywhereでは約2400万円になってくる。

上記のように、大規模な導入の場合、同時開発や同時実行を絞ることでサーバー型のツールが割安になる。

大規模な開発だと、ロボットの管理などもしやすく、コストパフォーマンスもよくなるという点で、サーバー型が好まれるのだ。

ちなみに、大企業における全社的な導入を進めると開発者が数百人単位になることもある。

こうなってくると、デスクトップ型はお金がかかりすぎるので、サーバー型を導入するのが現実的な判断だろう。

ただし、この価格は上記の前提条件のもと算出しており、やはり企業の条件によってどのように導入したいかは変わってくる。

なので、あくまで一例であり、一つの参考にし、最終的には各社に問い合わすることをおすすめする。

自社にあったRPAの導入を。

今回のマガジンの感想はどんなものだったろうか。

最低価格などで比べられることも多いRPAツールの価格体系がどうなっていて、自社で運用した場合にいくら必要になってくるかがイメージできたのではないだろうか。

こうなれば、RPAツール自体を判断する審美眼を獲得したと言えるだろう。

しかし、まだ終わりではない。

日本におけるRPA業界だけを見ていては、これから先「RPA」という技術がどこへ進んでいくのかを把握することができないだろう。

さらにRPAというものが本来何のために生まれたものなのか。その起源も知っておきたいところだ。

次のマガジンでは、そうしたRPA海外事情まで踏み込んで、RPAの行く先を見るための力を身につけることにしよう。

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