RPA 人事

人事部門でRPAの導入をする前に読むべき事例と導入の課題

RPA 人事

現在、日本の様々な業界において「生産性の低迷」が課題になっています。

これから大幅な人口減少が見込まれる日本において、生産性の低迷という課題の解決は急務。

一方で、日本社会では多様で柔軟な働き方を求める「働き方改革」の潮流もあり、企業では残業時間の削減が目指されています。

そのため、「生産性の維持・向上」と「働き方改革」の両立を果たすために、ますます「働いている時間の質の向上」が求められる時代になっています。

その上で、従業員の働き方に大きな影響を与えられる人事部門に大きな注目が集まっています。

人事部門でのRPAの現状

人事部門におけるRPAの認知度にはまだまだ余地があります。

以下は、株式会社オデッセイの「HRTechに関する市場調査(2019年)」です。

同調査の「HRTechに関してご存知ですか。」というアンケートによると、
人事(Human Resource)×technologyの造語を表す「HRTech」の認知度は低く、1割強の人のみが知っているという結果になっています。

つまり、RPA を含むHRTechについての理解はまだ普及していないことが分かります。

株式会社オデッセイ 「HRTechに関する市場調査」

一方で、同調査の「HRTechを導入してみたいと思いますか。」というアンケートでは、6割以上の人が導入を検討していることが分かり、一定のニーズがあることが分かります。

以下はそのアンケートの結果です。

株式会社オデッセイ 「HRTechに関する市場調査」

現在、様々なHRTechに関するソフトやサービスが出てきていますが、RPAは一部門で導入が成功すれば、他部門で応用できる可能性があるという強みがあるため、多くの担当者から注目されています。

では、RPAを人事部門で導入すると、どれほど効果があるのでしょうか。

次に、実際にどのような業務がRPA化され、またどれほど効果があったかを、事例を交えながら説明します。

人事部門でのRPA導入事例

RPA導入事例① 中央省庁

中央省庁では、国会によって割かれた予算を最大限政策に用いていたため、業務効率化のためのIT投資は遅れていました。

一方で、経済産業省がテクノロジーによる生産性向上を呼びかけていた影響もあり、行政手続きや省内業務においても同様の取り組みが必要との判断がされました。

そのような状況下で、最初にRPAの導入が検討されたのは、自動化の効果があると見込まれる人事事務の業務でした。

具体的には、経産省の人事異動や担当事務変更などの情報を、人事院が運営管理する「人事・給与システム」へ登録する作業が着目されました。

この業務は単純作業でありながら、ミスが許されない業務でした。

また、経産省では毎年約1300人の人事異動があったため、ピーク時には業務負担が大きい業務となっていました。

このような背景からRPAによる自動化が決行されました。

実地検証をした結果、従来は1件につき10分かかっていた登録作業を、RPAによって約3分で処理できるようになりました。

また、スピードだけではなく業務の精度も上がり、ミスが発生しなくなったため事例公布前の確認作業の負担も軽減されました。

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導入事例② 東京エレクトロン株式会社

半導体製造装置事業、フラットパネルディスプレイ製造装置事業などを手がける東京エレクトロンでは、全社的な生産性の向上が目指しています。

その一環で、人事関連業務が着目されました。

本業務では、エクセル等によってシステム化は進められていたものの、システム間を繋ぐ作業は手作業。

そこで、業務分析をしたところ、全人事関連業務のうち86%がロボット化しやすい業務であることが発覚し、RPAによる自動化で大きな効果が見込まれたのです。

現在、東京エレクトロンでは、特にRPA化がしやすいと考えられる業務に絞り、トライアルをしつつ、業務自動化を進めています。

トライアルがなされた業務の中には、伝票の計上など、他部門にも応用できる業務もあったため、今後は部門を超えた展開が期待されています。

半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置などを開発・製造・販売する東京エレクトロン株式会社では、全社を挙げて生…

導入事例③ 株式会社KSK

半導体関連の開発を行うシステムコア事業、ソフトウェア開発を行うITソリューション事業、情報システムのネットワーク構築など手がけるネットワークサービス事業の3つを軸に展開している株式会社KSKでは、業務品質の向上を目指してRPAの導入が図られました。

同社では自動化できそうな業務量をアンケートによって調査し、結果9200時間もの業務が削減できる見込みがあることが判明しました。

最初に本格的な自動化がされたのは、正確性と迅速性の両方が求められるメールの作成・確認でした。

この業務をRPAが代替することによってメールの送信前に何度も行われていた確認作業が大幅に改善され、導入前と比べると約2500時間の削減に成功しました

また、同社では、このメールの作成・確認業務の自動化を成功させるまでのプロセスで、他の業務にも応用が効くようなシナリオを切り出し、活用しています。

こうした取り組みもあり、同社では部門を超えて業務効率化が成され、2018年末の段階で累計10,000時間の業務時間を削減することに成功しました。


以上のように、人事部門でのRPA導入は大きな効果をもたらしている事例が多いです。

一方で、導入に関していくつか課題もあります。

人事部門におけるRPA導入の課題と解決策

先述したように、RPAは導入に成功すると大きな効果を発揮する一方で、導入する際の課題もあります。

日本CHO協会の「RPAの導入と活用に関する調査」によると、人事部門では特に「対象業務の選定に関する課題」「開発人材不足・開発スキル不足」が導入にあたって大きな課題となることが分かっています。

日本CHO協会 RPAの導入と活用に関する調査

・対象業務の選定について

対象業務の選定に関しては自社でやる場合と導入サービスなどを外部委託する場合の2つに分かれます。

自社でやる場合は、RPA担当者と人事担当者の間で、ヒアリングやミーティングを重ね、日々の業務の洗い出しと優先順位付けを経て、導入する業務を決めていきます。

この作業がRPA運用の成功の鍵を握っていて、ノウハウが無いとなかなかうまくいかないということもあるのは事実です。

こうした背景で外部委託が伸びてきたと言えるでしょう。

投資対効果を慎重に検証した上で、外部委託にするか自社で行うかを検討するべきでしょう。

下の記事では、完全自社ノウハウで導入を成功させたDeNAの記事を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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・開発人材・開発スキル不足について

開発人材と開発スキルの不足に関しては、開発体制によって解消できる可能性があります。

以下の記事を参考にしてください。

・運用や統制・ルールについて

RPAを長期的に活用していくにあたって、ガバナンス体制は必須です。
以下の記事では、ガバナンス整備の詳細について書いているので参考にしてください。

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・投資対効果について

投資対効果の課題は、各RPAツールの価格と特徴を理解することで解消できます。
ツールの価格・特徴については以下の記事を参考にしてください。

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また、ライセンス料に関しては以下の記事が参考になります。

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また、これ以外にもRPA自体が持つリスクもあります。
それに関して詳しく知りたいという方は以下の記事を見てください。

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まとめ

一般に、人事部門は他部門と比較しても定型業務が多いことから、RPA導入によって大きな効果が見込まれます。

導入に成功すれば、本来時間を割くべき「戦略や計画の立案」に注力することができるようになり、結果、生産性の向上をもたらします。

ぜひ一度導入を検討してみてください。

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