RPAと銀行

銀行へのRPA導入が加速する~事例で分かるRPAのこれから~

RPAと銀行

2017年、これまでパイロット版を導入してきた銀行や金融機関が次々とRPA導入の成果を発表しました。

働き方改革の一環としても注目を浴びているRPAは、銀行や金融機関業界でどのような役割を果たしていくのでしょうか。

この記事では、メガバンクへのRPAの導入状況に注目し、銀行及び金融機関に対しRPAがどのように貢献しているのか、またRPAが今後どのように活用されていくのかを考察していきます。

RPA導入が要因か?銀行業界のリストラ

2017年、銀行業界を大きく賑わすニュースが流れました。

みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャルグループの3大メガバンクがそろって大規模な人員削減を発表したのです。

ビジネスジャーナル

大手銀行が相次いで大幅な人員削減計画を発表している。みずほフィナンシャルグループ(FG)は2026年までに1万9000人…

この人員削減政策の柱がRPAの導入による業務の自動化でした。

定型業務や事務作業が多く、また、業務の正確性が強く必要とされる銀行業界において、RPAは大いに活躍します。

2017年、三菱東京UFJ銀行ではRPAで2万時間、三井住友銀行ではRPAで40万時間を削減したと発表され大きな話題となりました。

RPAが適用されるのは主に繰り返し行われる定型業務です。

Excel上でのデータ処理、受信した注文メールに応じた請求書の作成等、パソコン上で行われる業務をRPAで自動化することができます。

こうした業務は手順やルールを指示することが容易であるため、RPAによる自動化に向いているのです。

金融機関では上記のような業務が多く発生するため、RPAの活用の幅が広く、他の業界に先駆けてRPAの活用に成功しているのです。

RPA導入に向いている銀行の業務

RPAに向いている業務には3種類あります。

一つ目は、「処理件数が多く、扱うデータ量も多い業務」です。

これは申込書や請求書の処理を思い浮かべるとわかりやすいと思います。

上記のような人間がやると膨大な時間がかかる作業もRPAなら一瞬でこなすことができます。

二つ目は、「連続したプロセスが多い作業」です。

これは複数の人や複数の部署を経由して行われる業務を考えていただけばいいでしょう。

業務が連続すればするほど複雑性が増し、人間がやる際のミスが多くなります。

しかしRPAはルールを定めればその通りにミスなく実行できます。

三つ目は、「一つひとつの負荷はそれほどでもないが、何度も実行する必要があるもの」です。

一時間に一回Webアプリケーションからエクセルにデータを同期するといった業務は、一回の作業による負荷は大きくないものの担当者を物理的に拘束してしまいます。

ROIを描くことができないためシステム化に踏み切れないこういった作業を自動化することは、会社・担当者双方にとって大きな意味を持ちます。

このように、RPAに適した業務は「難しくはないが、大変であったり面倒であったりする作業」といえます。

そういった作業は「人間が行うとミスを起こしやすい」作業でもあります。

RPAの導入により、担当者の負担をなくし、高速でミスなく業務を行うことができます。

RPAが適用できる銀行業務

銀行での活用事例を紹介する前に、RPAによる自動化が可能な金融基幹業務を説明したいと思います。

基本的には、業務の手順とルールを正確に指示することができる操作であればRPAを適用することができます。

入出金処理

金融機関はお金のやりとりを行うので、入出金処理などの正確性が求められる事務作業が多く発生します。

そのような作業は担当者への精神的な負担も大きいため、RPAによる自動化が大きな意味を持ちます。

また、この業務は基幹システムにログインし、データを検索し、データ処理ソフト等に入力して処理するという、フローを明記しやすい業務です。

そのためRPAによる自動化に非常に向いていると言えます。

手続き業務

口座の開設、定期預金の申し込み、返済方法の変更など、顧客が入力したデータをシステム上に転記する作業は、RPAで自動化することが可能です。

金融機関の手続きは一般的に紙面でやり取りされることが多いですが、OCRで読み取ってデータ化することでRPAがデータを扱えるようになります。

紙面をデータ化する環境を整備することで、RPAによる業務は大きく幅を広げることができるのです。

顧客へのメール送信

システム整備に関する連絡等、名簿の中から対象者全員にメールを送信するといった業務にもRPAを適用できます。

名簿情報の中から対象者を抽出し、メールを作成して送信するという作業は、意外と手間のかかるものです。

こういった作業をRPAで自動化することで、業務の効率化とともに担当者の負担を減らすことができます。

システムの変更

金融機関のシステムは非常に高い精度を求められるため、システムの変更には莫大な予算と時間を要してしまいます。

一つのシステムから別のシステムにデータを移すという要件に対しても、1,2年の期間と数億円規模の予算がかかってしまいます。

一方で、RPAを導入すると、数か月の期間と数百万円の予算で行うことができます。

低コストですぐに進めることができるため、RPAは銀行のシステム作りにも貢献できます。

銀行でのRPA導入事例

ここからは銀行でのRPA活用事例を紹介していきたいと思います。

三菱東京UFJ銀行へのRPA導入

三菱東京UFJ銀行は、2014年からRPAのパイロットプロジェクトを開始しました。

パイロットプロジェクトの対象となったのは、住宅ローンの団体信用保険申告書の点検業務です。

このプロジェクトで2500時間の削減に成功しました。

また、同行はコンプライアンス部門でもRPAの実用化を図っています。

この領域では、複数回のシステムへのログインやデータの稼働といった単純作業に多くの工数が割かれています。

また、コンプライアンス部門の仕事は銀行の基幹的な業務であり、高い重要性を有しているだけではなく調べなくてはならない情報量も多いため、経験の必要な業務といわれていました。

この業務をRPAによって自動化できたことは、RPAの大きな成果と言えます。

三菱東京UFJ銀行のRPA導入事例についてはこちらのサイトで紹介されています。

MUFG Innovatin Hub

三菱東京UFJ銀行は昨今注目が集まるRPA(Robotic Process Automation)にいち早く着目し、業務…

三井住友銀行へのRPA導入

三井住友銀行は2016年からRPAの実証実験を開始しました。

現在では、

  • コンプライアンス・リスク関連業務(「疑わしい取引届け出」、「内部損失検証・計測」等)
  • 業界情報や顧客情報の収集業務、営業店支援業務(「お客さま宛運用報告資料」
  • 「住宅ローンチラシ」作成等
  • 「預金・為替・融資業務」等の事務センターにおける大量の定型業務
  • その他、高頻度の本部定型業務( 「各種計数報告」 、 「各種支払・申請事務」等)

にRPAの適用範囲を広げ、すでに40万時間の業務量削減に成功していると発表しています。

三井住友銀行のRPA導入事例についてはこちらのサイトで紹介されています。

日経xTECH

 三井住友銀行は全行挙げてRPAの活用を進めている。社外から専門家150人を集め推進組織を新設し、競わせて実力を引き出し…

みずほ銀行へのRPA導入

2017年の中間決算にてRPAの導入を発表しています。

同行は、AI(人工知能)、OCR(文字認識技術)、RPA(ロボットによる自動化)を活用した、手書き・非定型帳票のデータ入力を自動化する業務効率化ソリューション(「The AOR™」)を地域金融機関に提供することを目指すと発表しています。

しかし、まだ具体的なパイロット業務や削減時間を発表しておらず、導入状況については三菱東京UFJ銀行や三井住友フィナンシャルグループと比べると一歩遅れているという見方がされています。

みずほ銀行のRPA導入事例についてはこちらのサイトで紹介されています。

2018年5月24日付のニュースリリース「【FinTech】人工知能等を活用した事務効率化ソリューションの実用化 および…

金融機関へのRPA導入は加速する

銀行へのRPA導入事例から理解できるように、RPAは導入は労働力の自動化により大幅な費用を削減することが可能です。

特に、金融機関の業務内容は他業界と比較しても定型的なものが多いです。

海外では、自動化が日本と比較して約2年早く進んでいると言われており、実際に海外の多くの金融機関がRPAを導入し成果をあげています。

今後、金融機関に限らず定型的な業務は自動化が進んでいくと考えられ、人間の業務はよりクリエイティブな業務に時間を割く時代が迫ってきているのです。

今後のキャリア形成を考えている方は、この労働の自動化を見据えた上で設計していくことが求められてくるでしょう。

まとめ

現在大きな注目を集めている「働き方改革」に対し、RPAは業務効率化の側面から大きな役割を果たすと考えられます。

業務効率化により削減された時間で従業員はコア業務に集中し、より多くの付加価値を生み出し、その結果利益拡大として組織に還元されます。

RPA導入を検討する際は、RPAを活用することで「どう作業時間を削減するか」はもちろんのこと、「削減された時間で何を成すか」も考える必要があります。

RPAは単なるコスト削減・時間削減ではなく、経営戦略としても大きな力を発揮するでしょう。

また、銀行以外のRPAについての成功、失敗事例について知りたい方は、下の記事を参考にしてみて下さい

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